講演「近代美術と謄写版- 黎明から次の黎明へ-」
Atelier10-48では2019年11月16日にMEETS TO-SHA関連イベントとして、和歌山県立近代美術館 植野比佐見学芸員をお招きして、講演「近代美術と謄写版- 黎明から次の黎明へ-」をお話しいただきました。
書籍「10-48 謄写版のこれから・これまで」の製作を記念するこの展覧会と講演会。
植野学芸員からは書籍内にて語っていただいた内容をベースに講演を行っていただいています。
和歌山県立近代美術館の初めての謄写版版画作品こと、若山八十氏という謄写版創作版画のパイオニアが生まれる前のこと、つまりこの講演では一つの謄写版の黎明期について紹介しています。
この記録が謄写版による版画表現を考察する一つの材料になりことを願っています。
10−48主催:神﨑智子
>>講演「近代美術と謄写版- 黎明から次の黎明へ-」pdfダウンロード
和歌山という場所でどうして謄写版を研究するようになったかを、まずご紹介したいと思います。
はじまりは、2006 年に和歌山市内で謄写版の印刷工房を経営しながら作家活動をしていた清水武次郎の遺作が、まとめて収蔵されたことでした。当時、私たちは清水の活動については、こういう方がいて和歌山市でグループ活動も行っていたということしか知りませんでした。
そこから調査を始めました。作品を実際に手にして、これはどのように作るのか。実際に自分で道具を集めて材料を集め、神崎さんと同じように原紙を作ったりしながら調べていきましたら、これは大変に面白いということがわかりました。
その技法、独特の効果、その歴史といった事実を発掘しうるひとつの泉であるということに気がついたわけです。
続きは文字起こしテキストにて。