レーザーカッターによるデジタル製版
レーザーカッターによるデジタル製版についてご紹介します。
※動画は字幕ありで是非ごらんください。
技術の背景
昨今の版画家の製作動向は、従来の手製版と同時にパソコンを利用したデジタル製版も取り入れた作品作りも盛んです。
そもそも謄写版にはFAX製版機を使用した製版が行われていた背景もあり、それを利用した版画家の活躍もある(野田哲也氏など)
ただこの機械による製版は保守や新たな入手は大変難関であり代用となる技法が求められると考え、実験することにしました。
レーザーカッターとは
紙、木製の板、プラスチック、ガラスなどにレーザー光線を照射し彫刻を行う機械。
焼き切る作業を行うため、手製版だと「線香製版」に当てはまり、素材に与える効果はFAX製版とほぼ同じ。
謄写版利用では、直接原紙製版するだけでなく、ベニヤ板等にレリーフを彫刻し「撫圧還元法」を行う利用方法もある。
この実験技法で使用したレーザーカッターは「FABOOL Laser Mini」
レーザーカッターの相場がおよそ30万円くらいのところ5万円代で購入が可能。ただし組み立て式のためややハードルが高い上に高級機のような高機能は搭載していない。FABOOL Laser Mini http://www.smartdiys.com/fabool-laser-mini/
撫圧還元法(使用しているレリーフはレーザーカッターで彫刻したもの)
https://10-48.net/howto/frottage/
手順
紙に描いたものをスキャナでパソコンに取り込み、画像編集。
(ここでは、大きさを1023ピクセルに合わせる。編集箇所はレーザーカッターの仕様に合わせたものになる)
画像を保存し、レーザーカッターの操作を行う。
レーザーカッターのソフトに作成した画像ファイルを取り込み、描いた実サイズに合わせる。
パラメーター(レーザーの照射強度)をこの機材では2500mm/minと強度を50%に。
原紙をレーザーカッターにセット。
レーザーカッターの位置調整を行い、確認できたら加工開始。
大体20ー30分かかる。レーザーカッターは製品差があるので各機種による調整が必要。
製版終了の原紙
焼き切って穴を開ける製版なので、刷りは必ず典具帖紙を挟んで刷る。
表現や諸事項
①ドーイングや写真データから製版が可能になります。
ソフトウェア上の特性やレーザーカッターラスター形式での出力となるため、点描や走査線の様な表現特徴があります。
②機種にもよると思いますが、文字を製版するのには細密さが欠けます。
③ロウ原紙でなくとも製版できますが、ロウ原紙を鉄ヤスリであらかじめ製版しておいた後上からこのデジタル製版を施すことも可能です。
④謄写版ヤスリよりも大きな穴が空くので、製版後版はもろく刷りが難しくなります。