撫圧還元法
撫圧還元法(ぶあつかんげんほう)という技法についてご紹介します。
難しそうな名前ですが、「撫でて圧をかけて戻す方法」とのこと。
仕組みと、素材の特徴を理解していないと「?」な技法ですが、この技法は謄写版表現を未来につなげる技法になるのでは?と大袈裟に考えております。
製版する上での知識
基本的な製版は、ヤスリの上に原紙を置き描画するように鉄筆でヤスリの目の「穴を開ける」作業を行いました。
今回は還元法なのでその「空いた穴を埋めもどす」ことを行います。空いた穴を埋めもどす方法は数通りありますが、撫圧還元法では原紙の性質を利用した方法をとります。
原紙の構造
原紙は雁皮紙にロウ引きしたものになります。
塗布されているロウは鉄筆でこするだけで軟化(溶けているわけではないです)します。製版した後、ヤスリから取り外し、平らなところで製版したところを鉄筆でこすると軟化したロウが穴に埋め戻るという仕組みです。柔らかいロウと鉄ヤスリの目の穴が極小であるから出来る製版です。
これが描圧還元法になります。
さて、凸凹のところに置いてこするとどうなるでしょうか。今回行う撫圧還元法は製版した後、凸凹したものにあてがいこすって製版する方法です。
手順
撫圧還元法は「面製版」を行うことから始まります。
綺麗に模様がこすり出せるように、面製版は丁寧におこないます。
面製版が終わったら、ヤスリから原紙を取り外しレリーフ状の物の上に置き、こすりだします。
こすり出し表現=フロッタージュとも言いますね。
マスキングテープで四隅を固定しておこないます。
面製版後は破れやすくなっていますので、こする作業は慎重にかつしっかり丁寧に行います。
FABとの組み合わせ
デジタルファブリケーション機器を利用した謄写版の1技法として、この撫圧還元法が有効なのではないでしょうか。
今回はベニヤ板をレーザーカッターで加工したレリーフを制作しました。
基本的な謄写版技術を踏まえつつ、うまく時代に合わせた機材を取り入れると良いかもしれません。