描圧還元法
描圧還元法(びょうあつかんげんほう)という技法についてご紹介します。
※動画は字幕オンにしてご覧下さい
撫圧還元法とよく似たこの描圧還元法。こちらの製版方法は「描いて圧をかけて戻す方法」とのこと。
面製版を行った後、細い白い線を描いたり、ちょっとした文字の修正にも使えます。
撫圧還元法について→https://10-48.net/howto/frottage/
製版する上での知識
基本的な製版は、ヤスリの上に原紙を置き描画するように鉄筆でヤスリの目の「穴を開ける」作業を行いました。
今回は還元法なのでその「空いた穴を埋めもどす」ことを行います。空いた穴を埋めもどす方法は数通りありますが、描圧還元法では原紙の性質を利用した方法をとります。
原紙の構造
原紙は雁皮紙にロウ引きしたものになります。
塗布されているロウは鉄筆でこするだけで軟化(溶けているわけではないです)します。製版した後、ヤスリから取り外し、平らなところで製版したところを鉄筆でこすると軟化したロウが穴に埋め戻るという仕組みです。柔らかいロウと鉄ヤスリの目の穴が極小であるから出来る製版です。
これが今回行う描圧還元法になります。
手順
下絵の写し取りです。
描圧還元法は描く筆圧で強弱をつけることができるので、中間色を表現することが可能な製版方法です。
下絵は、2〜3階調くらい意識的に分けて描いておくと製版時わかりやすいかと思います。
製版は基本的に「面製版」を行うことから始まります。
丁寧に製版することが面製版の上手くいくポイントです。
製版が終わったらヤスリから原紙を外し、平らなツルツルしたもの(下敷きなど)の上に置きます。
その上から保護用に「要らない原紙」を置き、マスキングテープで止めます。
「要らない原紙(今まで失敗したような使わない原紙で十分です)」は使わなくても製版できますが、面製版した後の原紙は破れやすいので保護のためです。
描圧還元法を行っていきます。筆圧により強くor弱く面製版で黒く潰したところを埋め戻すことができます。
力の加減として3段階ぐらいでしたら違いがわかりやすいかと思います。
強く描くと真っ白に埋め戻り、弱く描くと少しグレー調になる製版になっています。
刷りは通常通りです。
刷り上がりから解説しますと、鼻の部分は面製版のままですね。
一番強く描いたのは細い毛並み等の白い線の部分です。
あとは少し力を緩めて還元部分と一番弱く還元した部分の計3階調くらいで製版しました。